分かる!

 師匠と弟子がいます。

「おい!分かってんのか!」

「はい!」

「でっかい声で喋った後に少し間をあけて・・・ドン!だ。その方が説得力が増すんだよ」

「おぉ・・・なんか分かってきました。すごい分かりそうです」

「分かったか!?」

「分かりそうです!だんだん分かっていきます。体に徐々に浸透します。おぉ!」

「わかったか!?」

「はい!もうちょっとです!もうちょっとだ!分かる!分かりそうだ!どんなもんだ!分かるか!?俺は分かるか!?分かる!」

「わかったか!?」

「はい!浸透してます。すごいです!自分が分かってきているのが分かります!よっしゃー!ありがとうございます!あぁ!ありがたい!」

「もう分かったのか!?」

「はい!僕が分かっていくところを見ていてください!」

「おう!」

 

 

 

 

お食事

 ラブラブカップルがいます。

「もう、ちょっと、やめてよー」

「いいじゃん!」

「もー!」

 女は男の体の上で食事をとっています。男は仰向けです。うつ伏せになっときゃよかったかなと今更考えています。仰向けの場合は女の食事が見えるので、ラッキーだと思うことにしました。ラッキー!と心の中で叫んだことでしょう。

「魚の食べ方が上手です、私は」

「なんで、よりによって俺の体の上で食べるときに魚なんだよぉ。俺の上で手間がかかる食事すんなよぉ」

 女はお構いなしです。しかし、男はどこか嬉しそうです。醤油をかけるのを手伝ってみたいと思うくらいには元気です。

「醤油をかけるの手伝いてぇー!」

「自分でできるんだよ!」

 女はなめられたくないので醤油を渡しません。醤油は彼女のものです。

 

 翌日、男が女の背中でパンを食べています。パンを食べるには、もってこいの背中でした。男の食事に興味が無いのでうつ伏せを選びました。

 人の体の上で食事をとるのは危ないです。

 

鬼だったり

「鬼ごっこやろうぜ!」
「おー! いいね!」
 閑散とした公園に二人の少年がいた。夕暮れのジャングルジムが二人を見ていた。
「じゃあ俺が鬼!」
「え…あー!」
 鬼宣言をされたツキグチは、焦って走り出す。鬼となった少年は興奮しながら
追いかける。しかし、ツキグチは風のように速かった。しかし、公園の近くの道
路で走っていた車の方が速かった。現代の文明を見て、同じ年齢のガキの実力を
知った。知ったところで鬼とツキグチの差は縮まらない。背中はどんどんと小さ
くなっていった。

 晩御飯を済ませたツキグチは自分の部屋のベッドに座っていた。彼は鬼ごっこ
の熱い気持ちを月に照らしていた。掛け布団で温まりながらも月を睨んでいたの
だ。月に鬼の笑顔が写った気がした。

 ツキグチは緊張しながら校門を抜けた。なぜなら鬼ごっこは終わっていないか
らだ。教室に入ったところで鬼が迫ってきた。
「おい! ツキグチ! 今日の給食、うどんだってよ!」
 赤い顔で言ってきたのだ。
 授業中、鬼はそわそわしていた。
 給食の時間中、鬼のように麺をすすっていた。鬼のように。

フィクション自叙伝

 私は肩幅が広くてフェロモンがあるよ。私はフェロモンのことをエロい汁と呼んでいる。呼びたくて呼んでいるわけじゃない。呼ばずにはいられない。これを読んでいる人がフェロモンをどう呼ぶかは自由だ。フェロモンの意味が分からない。勉強しないと分からないんだよ。勉強したって分からないかもね・・・。私のフェロモンにやられた人は皆、大きな声を出すよ。

 半袖で寒いときは袖を無理矢理伸ばしていこう。長袖になるけど、もう二度と半袖にはならないし、夏は戻ってこない。不安になったら炭酸ジュースを飲もう。

 炭酸のせいで走りたくなったかい。大人が急に走ると皆が怖がるよ。落ち着こう。